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腰痛の問題発見に切っても切れない関係があるのはこの仙骨と寛骨(腸骨)の関係性です。
ここでは一般の方向けに解説しますが、かなり難しく理解するのに時間がかかる内容になっています。
どうしても抜けられない腰痛をお持ちの方ほど興味深く、謎の多いカテゴリーになりますので、じっくり理解できるまで読んでいただき観察してください。
一般向けですので骨盤の動きは左右差を考えず、またインターナル、エクスターナルの動きを無視し簡易化して説明しています。
まず初めに簡単な骨盤の構成をみていきましょう。
真ん中にある三角の骨が「仙骨」
左右にある平たい骨が「寛骨」(一枚の名前)
また寛骨は元々3つの骨が融合してできた骨のため腸骨、坐骨、恥骨と分けて呼ばれる場合があります。
仙骨と寛骨の上半分「腸骨」の関節を仙腸関節と呼びます。
仙骨カウンターニューテーション
欧米人の腰痛の人は仙骨カウンターニューテーションが多いです。
そして仙骨カウンターニューテーションは教科書では脊椎をストレートまたは後弯させると考えているが実際には過前弯を起こさせることが多いです。
仙骨と寛骨(骨盤の骨)と脊椎の関係性
仙骨ニュートラル(中立位)
正常な体では仙骨の関節面が30度傾きがあり寛骨と脊椎とのバランスをたもっています。
仙骨カウンターニューテーション一般論の教え

仙骨カウンターニューテーション臨床現場での立位姿勢チェック
本来、仙骨カウンターニューテーションでは寛骨基準ではなく仙骨基準で体がバランスをとり、寛骨がニューテーション位になります。
【仙骨カウンターニューテーション】での実際の体のバランス
上でお話ししたように、仙骨カウンターニューテーションでは腰椎ストレートにはならず、実際臨床では過前弯になっていることが多いです。
仙骨のカウンターニューテーションとは実際立位で触診すると、「寛骨の前上方変位(アンテリア、スーペリア)」となります。
腹筋群(腸腰筋含む)が常時遠心性収縮で上体を支え、大腿四頭筋や腸腰筋が骨盤から下をクレーン式に引き支える。
この様にして欧米人に多い、腹筋群緊張、腿前短縮型の腰痛モデルが完成します。
仙骨カウンターニューテーションでは寛骨基準ではなく仙骨基準で体がバランスをとり、寛骨がニューテーション位になります。
仙骨カウンターニューテーションは教科書では腰椎整理湾曲が失われやすいと書かれていますが、立位での姿勢分性は実際にはこのように逆になる場合が多いです。
【仙腸関節】ねじ式関節の作用
仙腸関節はねじ式の関節であり、「仙骨カウンターニューテーション位」方向に動くにつれて関節の「あそび」が多くなり、関節が緩む作用があります。言い方を変えると動きの自由度が増えるとも考えられます。
ロックされないので仙腸関節由来のぎっくり腰は起こりにくいです。
体幹部の影響
また「仙骨カウンターニューテーション」で寛骨が前傾位になり過ぎると腰椎は過前弯になってゆき、腸腰筋や大腿四頭筋の常時遠心性収縮(緊張)状態が長くなり疲労し短縮していきます。
それに伴い尚更腰椎の整理湾曲がきつくなり(過前弯)よりアンバランスな状態へと負の連鎖が始まります。
腰椎は上部が前方変位(アンテリア)になり、胸椎5,6,7番は後方変位または上方変位(ポステリア、スーペリア)になりやすいです。
後頭骨の影響
後頭骨の左右どちらかは前方下方(アンテリア、インフェリア)に変位します。
歯の高さの影響
歯の噛み合わせは左右どちらか、または両方の奥側の歯が高くなっている事が多い。
頸椎の影響
前弯が強くつきやすい。
胸椎の影響
俗にいう猫背の姿勢になりやすいです。日本人は平背になりますが、欧米人は背中が丸まりやすいです。腹筋運動が1回もできない人がスポーツをする人でも存在します。
下肢の影響
それにより大腿四頭筋は常時遠心性収縮(緊張)が続き短縮していきます。
また下腿ではすね側(前脛骨筋)に疲労が溜まりやすく硬く柔軟性が無くなってきます。
歩き方の影響
歩き方は着地時に膝をよく使う歩き方になるため膝を痛めやすく、疲労し硬化、短縮していきます。欧米人が正座やヤンキー座りができないのはこのためです。
注意
フィットネス業界や治療家は欧米特にアメリカの影響を受けやすいと思います。新しいフィットネスや治療技術は輸入される場合が多いのですが、骨格の違う人種向けに開発されているフィットネスや治療法はそのまま日本人に利用されるとクライアントに怪我をさせることがあります。
フィットネスや治療法は元々健康目的でクライアントに利益をもたらすもののはずですが、欧米人向けに開発され研究され臨床がつまれた、技術は、そのまま利用されることで日本人クライアントに不利益を与え、トレーナーや治療家にもモチベーション低下を招きます。
新しい技術や、最新欧米最先端などという謳い文句には気をつけましょう。