整形外科は腰痛、肩こりの専門家か?

ぎっくり腰で、腰に激しい痛みが走り、先ずは整形外科を受診するのが、現代の一般的な常識的な流れかと思います。
整形外科を受診して、良くなる急性痛や慢性痛は、いったいどのくらいの割合であるのでしょうか?
整形外科等で明らかに症状が改善されるパターンはやはり骨折が見つかった時が多いです。
整形外科での処置は基本的に、骨折や重度の関節障害が専門です。
しかし、腰痛発症者の7割が原因不明であるというデータがあります。そして原因不明なはずなのに整形外科では診断され薬が処方されるのでしょうか?
原因がレントゲンに写らない、腰痛や筋・筋膜の痛みに関しては、対処療法(注射や痛み止めの服用)が中心となります。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が見つかり、手術してもなぜ治らないのか?
腰痛や首の痛みの医療現場の矛盾が起こるところです。
そして、現場の医師や看護師も我々の様な民間療法師のもとを尋ねてきます。ドイツ院でも整形外科、心臓外科、内科の医療従事者がよくいらしていました。
「レントゲンに写る物理的な結果が痛みを作る原因ではないのではない?」

そして現在、世界の最先端医療研究の中で、背骨の周囲に関係する、痛みの原因に、「椎間板変性(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症)は痛みの直接的要因ではない」という研究結果が有力となってきました。
東洋医学や我々のような自然療法家の中では、何十年も前から、そのような考え方が一般的でしたが、近年では西洋医学の最先端研究でも認められてきたという事です。
自分で椎間板ヘルニアを作った超人

ある一人の研究者の話です、椎間板変性と痛みについて研究を続けていた彼はあるとき自分の体を実験台に、麻酔をせずに自分の背骨の中に特殊な注射器を使い、自在に膨らませる事ができるバルーンを注入しました。
実験は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の状態を擬似的に作るものでした。
その結果は、バルーンを使い神経の圧迫を擬似的に作ると、起こる症状は感覚麻痺、運動麻痺であり、しびれや痛みは発生しなかったのです。
脳性髄液を堰き止めるほどの後方への椎間板ヘルニアは下肢の麻痺が発生し緊急手術をしなければいけません。
脊髄損傷が起こった場合は、状態により早急に手術を受け、圧迫を取り除かなければならない事がありますが、我々が一般に経験する、電撃痛やしびれと言うものは、レントゲンやMRIに写る、椎間板変性によって起こるとは言えない事を彼は証明しました。
麻痺が起こる場合は椎間板ヘルニアが脳脊髄神経を圧迫して、脳脊髄液ごと堰き止めている可能性があるので外科的処置が間違いなく必要です。処置が遅れると取り返しのつかない事になるため注意が必要です。
椎間板ヘルニア手術による回復率は50%程度です。これはとても曖昧で、回復とは本人にとってどのくらいの生活復帰を基準にするかです。それが手術以前より少しでも回復したとするならばもっと高い割合が出されるでしょう。逆に発症以前の腰に違和感のないレベルでの復帰を期待した場合残念な結果になります。
椎間板ヘルニアは何かの要因によって起こった骨格に歪みと関節の局部に集中した圧力によって起こります。そのため結果として起こった物理的突出を切り取るだけでは、腰痛は改善しないのです。
椎間板ヘルニアが作った感覚鈍麻や麻痺は適切に手術により開放する必要は絶対ありますが、痛みや痺れに関してはヘルニアを切り取ったところで変わりません。
その中に何%かでも大きく回復する人がいますが、それは麻酔によって筋・筋膜が弛緩し問題となっていた緊張が緩んだ事によってリセットされる場合があるからです。
社会的心理ストレスでそこに至った方は、社会からはなれ、ゆっくり休養できる事により回復したことの方が大きいと考えられます。手術はきっかけとなります。
また手術か保存療法か選べる患者の回復経過を追った研究では、保存療法でも約80%の方が適切に回復したというデータもあります。
腰痛がなくても椎間板ヘルニアをみんな持ってる

臨床現場においても、腰痛患者のMRIと、腰痛経験の無い被験者のMRIを比べた所、椎間板変性の割合はほとんど差がなく、そして腰痛経験の無い被験者のうちにも75%程に椎間板ヘルニアが見つかると言う驚くべき結果も証明されています。
いつまでも治らないあの激痛はなに?

ではなぜ、大の大人が我慢できず、涙を流すほどの激しい痛みが、腰や首、背中に現れるのでしょうか?
私の経験ではその殆どが、筋筋膜の異常による痛みだと考えます。「異常」と言う事がポイントになりますが、通常私たちの筋筋膜を含む軟部組織は血液循環のもと、破壊と再生が繰り返されています。
しかしそれがバランスを崩したとき、再生が追いつかず負のスパイラルに陥ってしまうのです。
その原因は様々で、仙腸関節のズレが要因の血行不良にはじまり神経伝達不良、脳脊髄液の循環不良、社会的要因のストレスや運動不足のストレス、パターンは無数にあります。
そしてその様な症状を抱える方は必ず複雑で複合的な要因となっておることが多いので、腰だけでなく体全身のバランスや、心理要因などをも疑わなければなりません。
抜け出せない負のスパイラル

外傷がきっかけや先天的なこともある
人の体は首の骨や頭蓋骨、骨盤の真ん中の仙骨がズレを起こすだけで心理的障害を発症する場合もあります。レントゲンやMRIをとりショックを受ける場合も多い
社会的ストレスにより心理障害がおこれば自律神経のバランスが崩れることもあります。痛みと間違った情報が原因で前向きになれない
自律神経のバランスが崩れれば心理障害を作り出すこともあります。うつ病を併発しなぞの発作痛を繰り返す
心理障害によりホルモンバランスが崩れれば、骨格筋や靭帯が弛緩しすぎることや筋痙攣が深層筋で起こることがあります。関係なかったところが痛み出したり痺れたりする
骨格筋や靭帯が正しく機能しなければ、筋・筋膜に部分的な負担がかかる様になり疲労しやすくなります。意味不明の症状が増え不安が増える
筋膜は侵害受容器が体の中で多くそなわる部分なので、炎症が起こると激しい痛みを感じやすくなります。そして繰り返し負の連鎖が止まらないようになります。複合的に要因を持っている人はそれを解消するのに時間も多く必要になります。
時には自分自身で要因を認知するまで治らないこともあります。
では、椎間板ヘルニアは本当に腰痛の根本要因か?
このいつまでも曖昧な結末のテーマはひとつの生涯テーマです。