痛みの種類
痛みの原因は実際には3種類の複合的または単一的要因で感じている事になり、その差別は自身ではとても難しいです。慢性痛を克服する際一筋縄でいかないのはそういう事によるものです。
悩むほど解決できない慢性痛はこの大きく分けた3種類の痛みが複雑に複合的に絡み合っている事になります。
一つの方法論でなく包括的にまた客観的に自分を見つめる必要があります。
その①【侵害受容性疼痛】

「侵害受容器」とは、痛みを感じる最初の感覚受容器のことです。センサーというと分かりやすいですね。
例えば、身体への危害や傷みに対して感覚神経系の反応で、強い化学物質(唐辛子やワサビ)、機械的(切断や破砕)、熱(熱さ、冷たさ)に反応して神経繊維のチェーンに沿い、脳へ向かって信号を伝えます。
「末梢」(脳と中枢神経以外の部分、中枢神経とは背骨の中の神経のこと)の侵害受容器が、
一般には熱や機械的な刺激に対して反応を起こし痛みを感じさせます。
急性痛や炎症性疼痛は侵害受容性疼痛です。
化学物質の反応では、組織に損傷を受けると「プロスタグランジン」が生成されます。この「プロスタグランジン」が「痛み、熱、腫れ」として症状が発症し、それを炎症と言います。
また、損傷時に血漿から遊離した「ブラジキニン」は知覚神経を興奮させるため痛みを発生させます。
「プロスタグランジン」と「ブラジキニン」は組織損傷時お互いに作用増強、生成促進させ関係しあってます。
- 筋・筋膜の疲労や損傷による痛み
- 火傷や切り傷、打撲の痛み
- 骨折や捻挫にによる炎症や出血の痛みなどが想像できます。
その②【神経障害性疼痛】

何らかの原因で、痛みの感覚を司る神経経路(中枢,脊髄,末梢神経)のどこかのレベルで傷つき、その神経が支配する領域に異常が生じることで痛みを感じると考えられています。
神経障害性疼痛の原因や病態はまだはっきりと分かっていないため、神経障害性疼痛は一般的な鎮痛薬が効かないため慢性痛原因となる難治性の痛みとされています。
脳脊髄神経に関係性の深い仙骨と頭蓋骨また上部頸椎に障害がある事で、脳脊髄液の流れが健康状態の時のような循環ができなくなります。
また、背骨にもズレが起こりさらに脳脊髄液を流れにくくし、各神経に酸素や養分が行き渡らず問題を起こし、それが痛みとして感じるものとも考えられます。
- 神経の損傷や脳脊髄液の循環不良による抹消神経感作による痛み
- 体の歪みによる中枢または末梢神経の障害による痛みなどが想像できます。
その③【心因性疼痛】

身体の異常によるものでなく,心理的な原因に由来します。
従来は、明らかな身体的原因がなく、その発生に心理社会的因子が関与している痛みを「心因性疼痛」としていました。
しかし、「心因性疼痛」の多くには心にのみ原因があるということではなく、社会生活で受けるストレスや日々抱えている不安といった多くの要因(生物学的,心理的,社会的,行動要因)が複雑に関与する可能性があります。
「心因性疼痛」はその要因がさらに複合化し複雑に絡み合っている場合があります。いえ、ほとんどは複合化していると言っても過言ではないかもしれません。
例えば、仙骨や頭蓋骨が大きくズレを起こすと気持ちは落ち込むものです。その逆も然りです。パーキンソン病などではその患者の多くに第一頸椎のズレがあることが報告されています。
物事を悲観するようになったり、何もやる気にならなくなったり、急に不安になったりします。
そうなるとこれはもはや「心因性疼痛」だけのものとは言えなくなってしまいます。
その②でお話しした「神経性疼痛」としての要因が混ざるようになり複合的になります。
心因性疼痛と神経性疼痛が併発するような状態ですと血流が著しく低下するようになるため、抹消の運動機能の低下も見られるようになります。
それは場合によって筋・筋膜に微細な傷を作るようになるため、小さなものでも炎症が起こりやすくなります。そう「侵害受容性疼痛」です。
「心因性疼痛」は多くの場合「神経性疼痛」と「侵害受容性疼痛」を誘発させやすい状態となりうるのです。
うつ病による「心因性疼痛」の場合や、体の歪みが原因の「神経性疼痛」の場合は、より複雑な「複合的要因性疼痛」になりやすいです。
そうなるととてもマッサージや簡易的な整体院では治療することができなくなるため、不治の病と言われるようになってしまいます。
このような場合は体の歪みを取りながら(神経性疼痛)、認知行動療法(心因性疼痛)で自分の体を理解しつつ、長期の休養(侵害受容性疼痛)を取り炎症が起こらないようにせねばなりません。
- ストレスや不安が影響する自律神経異常が作り出す痛み
- 複合的に増幅される負のスパイラルが作り出す痛みなどが想像できます。
痛みの3パターンの関係性
一般的な疼痛3種の関係性
それぞれが均等に影響されるようなイメージをもたれている。

本来の疼痛3種の関係性
心因性疼痛は多くの場合すでに複合化されている。

このようにそれぞれの痛みの関係性には深い関わりがあり、それぞれの段階で早めの対処を試み複合化させないことが大切です。
うつ病や自律神経失調症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、多発生筋硬化症などは難治性であり、それはこのようなことが深く関わっていることだと考えられます。